ロック (音楽) - Wikipedia
ロック(英: rock)は、アメリカで1950年代に黒人音楽と白人音楽の融合により生まれたポピュラー音楽のジャンルである。ジャズ、リズム・アンド・ブルース (R&B) と共に世界中に広まったアメリカ発の音楽であり、世界中の音楽シーンに衝撃を与えただけでなく、その影響はポップカルチャー全体に及び、その社会的インパクトは極めて強かった。
- 下記に述べられた欧米のロックに強い影響を受けて発展してきた「日本のロックミュージック」に関しては、日本のロックも参照。
[編集] 演奏・音楽形態
いわゆるロックバンドスタイルで演奏される。ボーカル、ギター、ベース、ドラムを基本構成とする。また、この構成にプラスして、キーボード、ピアノなどの鍵盤楽器やトランペットやトロンボーン、サックスなどのホーンセクションが加えられる場合もある。更に、アーティストによってはヴァイオリン・コントラバスのようなもっぱらクラシック音楽で用いられる楽器を加えることもあり、その他にも、(主に1980年代以降のロックにおいて)シンセサイザーやコンピュータサウンドを併奏させることもある。
稀な例外を除き、8ビート、2ビートか、或いは16ビートで演奏される音楽である。激しいビートサウンドが特徴であるが、今日でも様々な演奏様式を取り入れながら発展し続けており、この範疇に入らないロックも増えている。いずれにせよ多くは4分の4拍子の範疇であり、おおむね1曲あたり3分から5分の演奏時間となり、シングルや音楽配信で商業的に1曲ごとに切り売りされる。
[編集] 文化的特性
最初期の多くのロックは既成概念や体制に対する反抗心や怒りを強く表現することが主体で、対抗文化(カウンターカルチャー)としての存在意義を持っていた。しかし、当初はアウトローな存在として登場したロックのムーブメントも、やがて人気を得るにつれて大衆性を強めて逆にメインストリームとなり、更にそれに対する新たな対抗文化=新たなるロックジャンルが生まれる、という流れを表面上では何度も繰り返している部分がある(そもそもロックはその勃興において、既存のジャズやクラシックに対する若者に訴求しやすい新たな対抗音楽文化として生誕しているという側面もある)。しかしながら、例えば「A」というロックジャンルに対する対抗ジャンル「B」も大枠で見て同様に「ロック」であるため、この項で扱わ� �るロックの概念に逸脱するような本質的な差異には当たらない。
ロックミュージシャンのことをしばしば「ロッカー(Rocker)」と呼ぶ。ただし、かしこまった感が強い用語なので、NMEなどの有力媒体を始めとして、近年ではこの言葉が扱われることは少なくなっている。
一部では、演奏家やファンの生き方や精神性の部分に「ロック」の定義を求めるような意見や論調もある。
[編集] 呼称について
ロックという言葉は黒人の俗語で性行為をあらわす意味のロックンロール(Rock and RollあるいはRock'n'Roll)の略語として、その黎明期からしばしば用いられていたが、1960年代には逆にロックという呼び方が一般化し、ロックンロールと呼ぶことは少なくなった。イギリスやアメリカでは現在も、かしこまった言い方としてロックンロールという言葉が用いられることもある。
一方で「ロックンロール」と「ロック」とは別のものとして捉えられる意見も存在する。この概念においては、1960年代サウンドが進化してその枠を壊し、新たなサウンドの多くが生まれ、それらのサウンドの総称として「ロック」という言葉が使われている。これは「ロックンロール」は多様化してきた「ロック」の中の一つのジャンルである、という捉え方だと言える。
[編集] ロックの定義
ロックの定義(もしくは範囲)をどう捉えるかについては諸説がある。ここでは代表的な3つの捉え方を紹介する。
[編集] 最広義のロック
1950年代以降のロックンロール誕生以後のポピュラー音楽のうち、若者を主なターゲットとする音楽を全てロックとして捉える定義。この定義では狭義のポップスやソウル/R&Bもロックの範疇に入る。この捉え方は一般にはあまり浸透していないが、ロックとソウル/R&Bは特に1950年代においては区別しにくいことや、人種差別に至らせないため(「ブラックミュージック」という言い方を避けるため)の配慮から、特にポピュラー音楽を学術的に研究する場合などに用いられることが多い。
[編集] 広義のロック(英語圏や欧州などを中心に最も世界的に浸透している定義)
最広義のロックからソウル/R&Bを除いたものをロックとして捉える定義。アメリカではラジオ局がロックとソウル/R&Bで分かれていることや、レコード店の商品陳列がこの定義に従っていることが多いため、もっとも広く浸透している定義である。この定義を採用した場合、ブルー・アイド・ソウルをロックに含めるかソウルに含めるかは人によって考え方が異なる。
[編集] 狭義のロック(日本で広く浸透している「ロック」)
「広義のロック」から「ポップス」を除いたものをロックとして捉える定義。日本ではこの定義が比較的広く浸透している。
ここで言う「ポップス」は一般に、(1)自作曲中心でない、(2)バンド(ギター、ベース、ドラムスが主となる)という演奏スタイルでない、(3)アーティストの自主性よりもレコード会社の主導性が強いなどの特徴を持つものとされる。この「ポップス」の概念は、そもそもが日本の独自性の強い概念である(ポップ・ミュージックも参照)。
つまり、ここで言う「ロック」は、
- 曲を自作
- バンドスタイル(ギター、ベース、ドラムスが主流)の演奏
- アーティストの自主性で成り立つ
そして、尚かつソウル、R&Bなどではないということである。
具体的にどのアーティストがロックでどのアーティストがポップスかは人によって考え方が異なる。
[編集] ロックの歴史
下記ではロック・ポップミュージックの生誕の中心となった英米のポピュラーミュージックを核として述べる。
[編集] ロックンロール(1954年-1960年)
ロックンロールがいつ誕生したかについては諸説があるが、少なくとも1954年にビル・ヘイリーの "ロック・アラウンド・ザ・クロック" のヒットや、チャック・ベリー、リトル・リチャードの登場によって、ロックンロールはアメリカのポピュラー音楽における一大潮流のひとつとなった。同年にサン・レコードからデビューしたエルヴィス・プレスリーが1956年に大手RCAに移籍して大スターになったことにより、その影響力は決定的なものとなりバディ・ホリー、ロイ・オービソン、エヴァリー・ブラザーズらが続いた。
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