彼女の二胡はなぜそうなったのか(1) 楽器の音は変化する : “おとな”の二胡教室
彼女の二胡はなぜそうなったのか(1) 楽器の音は変化する : "おとな"の二胡教室
そのほかに中胡と高胡と京胡と中音板胡がありまして、自分で選んだのは中胡と高胡です。京胡は、台北の夜市に勤める友達に選んでもらったもの。中音板胡は、楽器店を辞める直前に、李十三さんがわたし用にあつらえてくれたのを退職金代わりにいただいたもの。これは頼んでないのにわざわざ作ってくれちゃって、大変ありがたくいただきました。 わたし用にあつらえてくれた、という意味は、いまはじめて書きますが、わたしは左手が不自由で、実をいうと右手で二胡を構えて、左手で弓を持つのです。板胡の琴軸は二胡と違う構造になっていて、普通の板胡の弦を逆に張るわけにいかないので、楽器の制作段階から琴軸を逆向きにしてもらわないといけないのです。李十三さんはそれを知っているので、そのようにあつらえてくれたのです。
以上が楽器自慢ですが、あ、そのほかに一時わたしのものになった京胡ひとつ墜胡ひとつ高胡一つありましたけども、これらは全部お土産にいただいたもの。そのうちの墜胡と高胡は、友人が成田空港で皮をはがされたものを、わたしがもらって板を貼って練習用に使っていたのでした。これは1990年の話。今はもう手もとにはないです。
まぁどっちにしても自分で選んだ楽器って少ない。でも全く問題を感じてません。これは本当は今回一番いいたいことのひとつなのです。
あなたは私にそれをどのように行うよっぽどの不良品か、とんでもない整備不良でなければ、わたしにとっては、楽器なんか何でもいいといってしまいたいくらいなんですホントは。ただ、ある地方のある種のメーカーのある種の二胡は全部、わたしにとって不良品に見える、ってなことはあるんですけどね。すんませんね。それはさておき、
他人のために楽器を選んでさし上げるという経験は、非常にたくさんあります。それが仕事の一部だったようなときもあります。去年の年末久しぶりに、新しい生徒さん用に一つ二胡を選びました。楽しかった。
そのお店に偶然いまある楽器の中で、買う人のご予算に応じて、お店の人の意見も聞いて、買う人の考えも聞いて、最良と思われるものを選ぶわけですが、とにかく、新品の楽器を選ぶわけなので、その後その二胡の音がどうなるか、責任持とうにも持ちきれんわけです。
どのようa.g.わたし自身の楽器に関してもそうですけど、自分で自信を持って選ぼうがどうしようが、高額の有名作者の二胡を買って、あるいは有名メーカーの二胡を買って、買った人の自己満足以外に、演奏する音楽が如実によくなると決まったわけでなし、先生が弾けば安い二胡でもいい音楽に聞こえるとかいう世界もあり、有名な楽器でも無名な楽器でも、「いい音楽」という最大の目的が達成されればいいのよね、ということで、
まぁつまりね、楽器の音ってだんだん変化することはわかっていますので、だからこそ、将来いい音になる楽器を、楽器屋さんで、ホントに自分で選ぶことなんてできるもんなんだろうか、という話をしようかと思ったんですけどね。少しでも練習の頻度が上がるように、思わず手に取って弾きたくなるような、気にいった音が「いま出る」楽器を選ぶという価値観はあるでしょうけどね。見た目も重視されるというのも理解できます。音がよければ見た目なんてどうでもいいと自信を持って主張できる人ばかりでない。
(逆に、音よりも見た目がいい楽器を選ぶ人も、世の中にはいることは確かなんですけど。見た目も良くて音もいい楽器が、世の中にないとも限らないけどさ。二胡の世界はそのへん実に微妙だ。)
私はいつもあなたを愛しますかnearまたはfarは関係ありませんいい演奏会だったなら、演奏がよかった話にはなっても楽器の良し悪しが話題になることは意外に少ない。
楽器が珍しいとか、楽器がお高いとか、そっちのほうが話題になる演奏会って、演奏者はうれしいのだろうか。演奏者としては、そんな話題は余計なものと思う人もいるでしょうね。
それとはまったく別に、楽器制作者は、楽器制作理論を磨いて、がんばって制作する。本当に理論通りになるならいいけど、理論通りにならないし、理論が万能でないので、ちゃんとやってるのにおかしな音がする二胡も避けがたく生まれてしまう。それもお店に並べると、一部の人は買っていくので内心ほっとする。
制作の段階でうまくいかなかった楽器が、買った人の弾き方の影響なのか、何かの偶然で、5年後にじつにいい音になっている、なんてこともある。これは制作者の力量のうちにはいるのかどうか。何年たってもいい音にならないのは、奏者の責任か、制作者の責任か。
西洋楽器でも同じで、いい音で鳴る楽器が、なぜいい音なのか、なぜ途中で音が変化するのか、これはいまだに解明されていないことも多いらしいのです。わかってるなら最初からそう作ればいのでね。いい音っていったいどんな音なのかという問題も大きいけどね。ひとまずそれはさておき、
女性が気を配るのがアンチエイジングですが、楽器の場合エイジングしたほうがいいといわれる、そのエイジングの話をしようと思って、前置きが長くなっちゃった。
最近、数年ぶりに会ったある友人は、8年か9年前に、わたしの二胡より2ランク上の価格帯の二胡を買って、その楽器はわたしも覚えがありました。
ところが彼女は、引っ越した先の街に気に入った二胡教室がなく、一時、二胡をあきらめて別の楽器を習って1年ちょっとたっていたところで、わたしのこのブログを読んでまた二胡を思い出し、思い切ってわたしのところにやってきたのです。1年以上も弾いていなかった二胡がどういう音だったのか、ごめんなさい長くなったのでまた次回にまわします。
0 コメント:
コメントを投稿