Y'not Report Revival: デザイン
皆様、こんにちわ。
すっかり、すっかり1カ月もご無沙汰してしまいました。
reikoyamamotoです。
まずは簡単な近況報告ですが、10月から来春発行予定の書籍のお仕事に、チームの一人としてかかわり、日本各地へ取材の旅に出ております(ブログが更新できないの、言い訳!)。まだ詳しいことはお伝えできないのですが、日本のものづくりのプロセスについて学び、感動しまくっている日々です。取材させていただいたものづくりの現場、そしてものづくりに携わる人々をエンパワーメントできるような、よい本を作るために私もがんばります。
さてさて。
そんな取材旅行の合間を縫って、先週末なんとか東京デザイナーズウィークを駆け足で見てきた。神宮外苑のメイン会場(100%DesignTokyoなど)についてはあちこちでレポートされていると思うので詳しくは書かない。私が今年面白いなと思ったのは、国立競技場の「Design Tide」と青山・表参道付近の町中のギャラリーだ。
100%DesginTokyoはあくまでも見本市なので、ブースを買った企業や団体が商品を「売り」にきているのに対し、DesignTideは国内外からイチオシのデザイナーを招いて紹介するというのが基本的な形式。そのため一つ一つの作品にチャレンジ精神と個性と勢いがあって、ショーケースとして純粋に楽しめる。しかも今年は、去年よりも密度が濃くって、大粒がそろっていたように思う。広いワンフロアで構成しやすいこともあったのだろうが、コンテンツが整理され一作品ごとにじっくり見やすくなっていたのもよかった。去年はエコをテーマにした作品が多くてさすがに辟易したが、今年目立っていたのは映像やLEDを使ったインスタレーション。近年のトレンドであるハンドクラフト系と好対照で面白かった。
オープニングに着用しないもの
町中の方は、時間も限られていたので見られたのはわずか。ミラノサローネでも実感したが、大会場に比べてギャラリーやショップでの展示の自由度は断然高く、メーカーのやりたいことがダイレクトに伝わってくるのはやっぱり町中だ(建築だけでなくプロダクトにも場所性って考慮されるべきなのではないだろうか?)。誤解を恐れずにいえば、HOYAの新作クリスタル製品は、中村拓志が設計した骨董通りのショップ(10月27日オープン)に置かれて完成するものだと思うし、セリーヌ表参道店の試みは一見ブランドを破壊する行為に見えて、その実は1Fのショップをより引き立たせるものなのである。
100%DesignTokyo内でもHOYAのブースは目立っていた。HOYAは3年のブランクを経て、クリスタルブランドをリニューアル。ブースの設計はクラインダイサムアーキテクツだが、ゴシックな雰囲気は中村拓志設計のショールームのイメージを引き継ぐ
黒く塗装した鳥かごの中に、HOYAクリスタルの新作を展示。クリエーター伊藤桂司による作品
同じくHOYAクリスタルの生意気による作品。気泡などが入ってしまうため、大きくぼてっとしたクリスタルを製造するのは高度な技術がいる
ちなみに骨董通り近くにオープンしたHOYAのショールーム。おどろおどろしい内装にわくわくする。設計した中村氏はショップのストーリー性にこだわり、庭→書斎→地下室へと展開する。クリスタルだけでなく、選書集団BACHがセレクトした図鑑や辞典なども扱う
ヨハンジョージtromlitzはどのように死んだ
100%DesignTokyoで気になったインハウスデザイナーのコーナー。特に富士フイルムのブースには人が集まっていた。有機溶剤や水などの三種類の液体の比重の違いを利用したオブジェや、モルフォ蝶のような色を再現する技術などを紹介していた
こちらはDesign Tide会場。マルティ・ギゼの「キャンバス・ファニチャー」。キャンバスを張った家具に絵を描くことでプロダクトが完成する。プロセスを眺めるのが面白い
キャンバス・ファニチャーに絵を描く美大生。「朝からずっと描いてます!」イタリアのキャンバス生地だそうだが、絵の具の吸収がよいとのこと。「最初は戸惑ったが、ベタベタにならないので家具にするならいいと思う」
nendoと先述の選書集団BACHによる作品。BACHがセレクトした本数冊をnendoがパッケージングして、「本+本棚」で一つのプロダクトというわけだ。かなり押しつけっぽいところが現代らしくて面白い
ディライトの作品。配線による電磁場を使って、6000個のLEDのビーズに電源を供給するという照明。ビーズ状なので、玩具のように動かして好きな形をつくることもできる。触ってみたくなる作品
今年のDesign Tideでは、テクノロジーを生かしたインスタレーションが目立った。クリス・オーシェによる「Out of Bounds」は、x-ray torch(X線懐中電灯?)を壁に照らすと、まるで壁に穴が開いて奥がのぞけるような体験ができる
オランダ出身のシモン・ハイジェンスの映像作品「Lightweeds」。センサーで屋外の気温や風などを感知して、"光の植物"が成長したり、風にゆれたりする
1990-2012からギリシャ語の映画の名前は何ですか?
姉弟ユニットShimurabros.の映像作品。「映画の父」と呼ばれるリュミエール兄弟が発明したシネマトグラフを見て(1895年)、パリの人々がカメラに迫ってくる汽車に驚いたという歴史的な事件に着想。電気が通ると曇るスクリーンを12枚つなげて、汽車が迫ってくる感じを再現(写真ではお伝えできないのですが…)
アルミのディスプレイシステムを扱うEXTOのショールーム(表参道)。デザイナー三組によるディスプレイシステムの展示が行われた。トネリコは、細いアルミのレールにがっしりめの椅子やテーブルの形をした棚をセット。浮遊しているようでしっかり支えられている感じを表現
こちらは五十嵐久枝さんの展示。そこにのせるべきモノではなく、タナを主役にしたディスプレイ
トーキョーヒップスターズクラブのギャラリーでは、パンクな漆作家、木村浩一郎の個展を開催。マッキントッシュの名作椅子「ヒルハウス」を穴だらけにしてマグネシウムで塗装した「アナーキーマッキントッシュ」(穴あき?の洒落か)を発表
骨董通り近くのCLEAR GALLERYでは、倉俣史朗の作品展「Liberated Zone」を実施(12月25日まで)
ショーウインドーの前では、こんな出で立ちのスタッフがチラシを配付
セリーヌにこんな地下のスペースがあったことも驚きだが(入ったことない…)、この展示にも驚いた。フランスのアーティスト、item idemによる「DISPLAYSTHETICS」展。保冷用の発泡スチロールだとか、日用品(東急ハンズで調達)だとか細々としたおもちゃ類などが積み重なって要塞のようになっている
しかも作品の随所に設置されたWebカメラで会場の様子や来場者の顔などをネット配信。写真スタジオとしても使われた
灯油を移し替えるポンプもitem idemの手にかかればこんなシャンデリアに変身!
この展示と、1階のラグジュアリーなアイテムとの対照がなんとも言えない。でもよく考えれば、なんとなく二つとも似ているような気がしなくもない・・
●これはアート?これはデザイン?そんな線引きは全く無意味なのが、今の世の中。ブランドがブランドとして生き残っていくためには、基本となる核を忘れずに、しかし常にアメーバーのように見ための姿形を変え、時にはほかのアメーバーと手をつなぎ、既存の枠組みをくぐりぬけ、あるいは崩しながら、人々に驚きをあたえ続けていく必要があります。大所帯になればなるほど困難を伴いますが、人々を振り向かせるためにはその作業を行う勇気が必須なのでしょうね。。
そんなわけで、久々ではありますが、よろしければブログランキングへのご協力をお願いいたします♪
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